世界地図が様変わりする可能性

世界国家がどうまく出来れば一番いいし、無政府でうまくいけばそれもいい 志賀直哉『わが生活信条』

 

 

 

 しぶりに文章を書いてみようと思う。ただし、それはとても難しいことだから、僕は以前からさまざまな書籍からの引用に頼ってきた。何かしらの文章を引き合いに出すためには該当箇所がどの書籍のどのあたりにあるのかを記憶しておく必要があるものの、残念なことに最近はすぐに忘れてしまう。したがって、書けるところまで書いて、追加していくスタイルで初めてみたいと思う。はてなを使うのも実に20年ぶり。

 

 

 

 半は後々に補完された記憶ではあるものの、ソ連崩壊のニュースはリアルタイムで記憶にある――小3だから当たり前か。あとベルリンの壁崩壊もおぼろげながら覚えているような気がする。たぶん、静岡の小さなアパートに住んでいた時、今となっては超重厚なブラウン管のテレビに映し出されていた映像がそれだ。

 

 

 

 たちは疑いようもなく民主主義的な政治体制が正しいという教育を受けてきたし、諸々の問題を抱えていたとしても、考えられうる中で最もマシな政治システムであるという認識は持っている。マルクスの意図は大きく離れたとは言え、ソ連の崩壊は社会主義終焉を強烈に印象づける最たるものであったし、専制君主的な体制を維持した国家の行き詰まりは火を見るより明らかであった。一方で、近年の中国の繁栄は決して習近平指導力によるものではなく、市場経済を導入した鄧小平や改革開放を指導した江沢民によるところが大きいはずである。

 

 

 

 だ、世界の趨勢はそうではなくて、2019年にスウェーデンの調査機関V-Demが行った報告では、民主主義国・地域が87カ国に対し、非民主主義国家が92カ国となり、18年ぶりに非民主主義国が多数派になったとしている*1。「民主主義の限界」という記事も散見されるようになった。

 

 

 

 題のプーチンによるウクライナ侵攻については、書きたいことがたくさんあるものの、とにかくわからないことが多すぎる。ニュースを注視しすぎていて、この1週間ばかり寝不足だ。一寸先のことも全くわからないが、ひとつだけ言えるとしたら、これまで僕らが眺めていた世界地図が全く異なるものになる可能性はあると思う。戦争に勝者はいないのは確かなのだが、そうは言っても実際にミサイルが飛び交っているため、何らかの結末を迎えるだろう。

 

 

 

 シアがキエフを陥落させた場合、もしくはゼレンスキーを捕らえた場合、「ウクライナ」という名前がどうなるかは別として、親ロシア派の傀儡政権が樹立するというのは大方の見方だ。その場合、ロシアと西側諸国の境界線はポーランドになり、NATOに加盟しているポーランド国境沿いにNATO軍が派遣され、ロシアと対峙することになるだろう。そこで膠着状態になるのか、戦いを交えることになってしまうのかは全くわからない。

 

 

 

 方で、ロシア軍が退却を迫られた場合、当然のことながらプーチン政権は崩壊する。プーチン政権の崩壊はある意味現在のロシアの傀儡であるベラルーシのルカチェンコ政権の崩壊へと繋がるだろう。つまり、ロシア国内を含めて一気に「春」が訪れる可能性がある*2ただし、あれだけの面積を有した民主国家を維持することはたぶん無理で、それは確か、ジャン・ジャック・ルソーも言っていたような気がする。

 

 

 

 て、準同盟国という立場をとってきた中国の習近平にとってみれば「何してくれてんねん!」という話で、これまで以上に難しい国家運営を強いられることになるだろう。ただし、習近平にしてみればプーチンの勇み足で、西側諸国がどういう制裁を課してくるのか、おおよそのモノサシは作れたと思う。

 

 

 

 年1月24日のニュースで「世界終末時計」の残り時間が100秒となり、1947年の開始以来、最も「終末」に近づいたと発表した*3。僅か1か月前のことだが、どちらかというと気候変動やアメリカとイランの対立が考慮されてのことだったが、世界大戦の様相になるとはこのとき思いもしなかった。

*1:https://toyokeizai.net/articles/-/437423

*2:その場合、プーチンは自殺するだろう。KGBとしてベルリンの壁崩壊に際会し、ほどなくしてソ連崩壊を目の当たりにしたプーチンにとって、3度目の屈辱は死を意味する。

*3:https://www.bbc.com/japanese/51231583